出産のために、産前産後お仕事を休まなければなりませんが、産休にあたる一定期間の間、無収入にならないように支給される出産手当金。
これから赤ちゃんを迎えて出費が増えるのですから、貰えるものはきちんと受け取りたいですよね。そのためには、自分で出産手当金の申請手続きをしなければなりません。
だけど、なんだか制度が複雑で良くわからない…。というあなたのために、計算方法や貰える金額、受給できる条件、申請先や申請時期を徹底解説します!
出産手当金ってどんな制度?
出産手当金とは、働いている女性が出産のために会社を休み、その間給料が支払われなかったときに支給される制度です。
被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときは、出産手当金が支給されます。
これは、被保険者や家族の生活を保障し、安心して出産前後の休養ができるようにするために設けられている制度です。引用:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31712/1948-273#teatekin
出展:全国健康保険協会
出産育児一時金と混同しがちですが、全く別の制度です。出産育児一時金は働いているかどうかを問わず、申請すれば保険加入者に支給されます。
申請する条件
出産手当金を申請するためには、一定の条件を満たしていなければなりません。
・健康保険証が勤務先から発行されている(配偶者の扶養内ではダメ)
・出産のため産休をとっている
この2つが必須条件となります。
産休をとっていたけど、そのまま退職するというケースがありますが、その場合は、下記条件を満たしている場合に限って、出産手当金受給資格があります。
・退職日以前、継続して1年以上被保険者である。
・退職時に出産手当金を受けている。
・退職時に出産手当金受給条件を満たしている。
次の2点を満たしている場合に退職後も引き続き、出産手当金の支給を受けることができます。
(資格喪失後の継続給付)
1.被保険者の資格を喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金はお支払いできません。引用:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311#q7
出展:全国健康保険協会
申請先はどこ?
あなたが加入している健康保険組合ですが、会社の総務部が処理を受け付けている場合もあります。まずは総務部に出産手当金について問い合わせてみましょう。
申請時期はいつ?
必要書類に産前産後の賃金台帳とタイムカード又は出勤簿が必要のため、出産手当金の給付対象日が過ぎてからの事後申請となります。
申請期限は産後2年間です。
出産手当金で貰える金額と計算方法
出産手当金は、給与額の3分の2相当が支給されます。支給される期間は出産以前42日から出産日翌日以降56日までの計98日間。そのため、1日当たりの支給額に98をかけた金額が支給総額となります。
ちなみに、出産が予定日を超過した場合は、出産が遅れた日数分加算されます。そして、出産が予定日より早かった場合、予定日より早かった日数分減額となります。
出産手当金で貰える金額を計算する方法
1. 支給開始日以前12か月間分の給与から1カ月の平均値を算出
2. 1カ月の平均給与額÷30日間=1日の平均給与額
3. 1日の平均給与額×2/3=1日に支給される出産手当金
4. 1日に支給される出産手当金×98日=出産手当金総額
(予定日超過の場合、その日数を98日に追加してください)
例)予定日に出産し、支給開始以前の12カ月分の給与合計額が360万円だった場合。
1. 3,600,000÷12=300,000
2. 300,000÷30=10,000
3. 10,000×2/3=6,667
4. 6,667×98=653,333
出産手当金の合計額は653,333円。
産休に入る前に働いた期間が12カ月未満の場合、標準報酬月額の計算方法は以下のようになります。
支給開始日の以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、
・支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
・28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
を比べて少ないほうの額を使用して計算します。引用:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r311#q7
出展:全国健康保険協会
まとめ
出産手当金を申請して受け取るためには、自分が申請条件を満たしているか、まずは確認しなければなりません。
そして、申請条件を満たしていても、申請書の他に必要書類が多々あり、勤め先にお願いしてコピーを貰う必要がありますし、出産した病院の医師や助産師の署名も必要です。
色々と手間はかかりますが、その分出産手当金は受け取れる金額が大きいです。申請期限は2年と長いので、焦らずしっかり申請してくださいね。