妊娠と便秘はホルモンバランスの変化や胎児の成長と関係があるため、
多くの妊婦さんを悩ませる代表的なトラブルです。しかし、赤ちゃんのことを思えばできるだけ薬には頼りたくないものですよね。
そこで、妊娠すると便秘になりやすくなる原因と、自分でできる対策について知っておきましょう。
【なぜ?妊娠すると便秘になりやすくなる理由】
石川県立看護大学が2009年に行った調査によると、便秘であると自覚している人の割合は、妊娠前は33.3%だったのに対し、妊娠中は49.1%にまで増加。この結果は、あわせて行われた排便状況アンケートの結果とも連動しており、妊娠すると便秘になりやすくなるのは事実です。
ではなぜ、妊娠すると便秘になりやすくなるのでしょう?
妊娠期間は約10か月ありますが、妊娠初期かに中期にかけての主な理由はホルモンバランスの低下と運動不足、つわりなどのストレスなどが挙げられます。
妊娠中に増える女性ホルモン、プロゲステロンは胃腸が食べ物を送る動きである蠕動運動を弱める作用があり、便秘を引き起こします。運動不足やストレスも胃腸の動きを弱める原因です。
後期になると赤ちゃんが大きくなるため、母体の腸を圧迫し始めます。便が腸の中を通過しにくくなることが、便秘の原因となるのです。
また、おなかに赤ちゃんがいるため力んではいけないと思うことも、妊娠中に便秘が増える要因の一つと考えられています。
【おなかの中からスッキリしよう!食生活でできる対策】
妊娠中の便秘で多いのが、腸の力が緩んで便を押し出す力が弱まる弛緩性便秘です。
便秘になる以外に、おなかが張る、肌が荒れるなどの症状を引き起こし、便はコロコロとして太く短めなのが特徴。
このタイプの便秘には腸の動きが活発になるように働きかけてあげるのが、便秘解消のコツです。
弛緩性便秘に効くのは水に溶けないタイプの食物繊維。きのこや海藻類、穀類に多く含まれており、水分を含むと膨らむため、腸の壁を刺激して蠕動運動が起こりやすくなります。便を固くしすぎないために、水分も必要です。
また、腸内環境を向上させてくれる善玉菌を多く含んだものを摂るのも、便秘解消に効果があります。
【腸の動きをサポートしよう!便秘を改善できる運動】
腸の動きが弱まっているので、外から刺激を与えてあげると腸が動き出します。腸を動かす運動としては、ウォーキングやマタニティスイミングなどがおすすめです。
また、腰回りのストレッチも腸を揺らしてくれるので、効果があります。ゆっくりフラフープを回すような感じで腰を回す腰回しストレッチや、あぐらをかいた状態で体を左右にゆっくりひねる腰ひねりストレッチなどを行うと、腸を刺激して蠕動運動を促してあげることができます。
仰向けに寝て、片足は曲げて足裏を床につけ、もう片方の足を上下させる運動は、便を押し出すのに必要な腹筋を鍛えることができます。
こうした運動は、体調やお医者さんと相談しながら行いましょう。
【その人に合った解消方法を見つけることが大切】
先ほどの石川県立看護大学の調査によると、妊娠中の便秘解消のために取った方法として最も多かったのが「ヨーグルトを食べる」、次いで「水分をとる」、3位が「下剤を使う」という回答でした。
下剤に関しては、妊娠中に下剤を使用した人の割合は25.2%。妊娠前、出産後ともに使用率は7.8%ですから、妊娠中の使用率が明らかに高いことがわかります。しかし、下剤に関しては「できれば使いたくない」と答えた人は7割以上にも上り、妊娠中の女性の多くは下剤に対してネガティブな印象を持っていることも事実。
ですが、様々な対策を取っても下剤が一番有効だった、という声も多くありました。
誰もが同じように妊娠期間を過ごせるわけではなく、安静が必要な人、水分制限がある人もいます。
生活習慣で便秘の解消がしきれない、という場合は医師の指示に従って下剤を服用する、という方法も必要になってきます。
大切なのは、その人に合った解消方法を見つけることです。
妊娠と便秘は切り離せないものとして、普段から便秘解消に努めることが大切ですが、もしどんな対策をとっても便秘がよくならないという場合は、お医者さんに相談しましょう。また、ストレスが強くなると交感神経が緊張し、腸の動きが鈍くなるので、リラックスして過ごすことも大切です。
参考
http://www.ishikawa-nu.ac.jp/research/files/2014/09/11_11.pdf