世の中はたくさんの感染症で溢れていますが、風邪ひとつとっても、妊娠中は咳き込んで腹圧がかかるだけで心配になるなど、特に敏感になるものです。
今回は、感染症の中でもインフルエンザについてです。
インフルエンザって何?インフルエンザワクチンって受けていいの?もしインフルエンザにかかっちゃったら?
インフルエンザのあれこれを以下にまとめてみました。
インフルエンザと普通の風邪の違い
風邪は様々なウイルスによって起こりますが、風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。
併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。
妊婦は非妊婦に対して重症化しやすいとされており注意が必要です。
インフルエンが流行する時期は?
季節性インフルエンザは流行性があり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。日本では、例年12月~3月が流行シーズンです。
予防方法
- 流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。 - 飛沫感染対策としての咳エチケット
インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみによる飛沫感染です。したがって、飛沫を浴びないようにすればインフルエンザに感染する機会は大きく減少します。
飛沫感染対策ではマスクは重要です。特に感染者がマスクをする方が、感染の拡散を抑える効果は高いと言われています。 - 外出後の手洗い・うがい
流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。
インフルエンザウイルスはアルコールによる消毒でも効果が高いですから、アルコール製剤による手指衛生も効果があります。 - 適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。 - 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。 - 人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、マスクを着用し人混みに入る時間は極力短くしましょう。
インフルエンザワクチンは妊娠中でもできます。
妊婦へのインフルエンザワクチンに関しては安全性と有効性が証明されています。
インフルエンザワクチンの予防接種を受けて「流産・先天性異常」の発生リスクの報告をありません。
予防接種により作られた抗体は胎盤を通して胎児にも移行し90%が母子共に免疫を獲得することが確認されています。このことにより、完全な感染阻止はできないとしても、感染による重症化を防ぐことができると考えられています。
WHO(世界保健機関)では、インフルエンザワクチンを優先的に妊婦さんに予防接種の対象とし推奨しており、日本もそれに伴い、妊婦さんを優先的に接種できる対象としています。
妊婦のインフルエンザワクチン投与の際の注意点
妊婦へのインフルエンザワクチンに関しては安全性と有効性が証明されていますが、 インフルエンザワクチンでは重篤なアナフィラキシーショックが100万人あたり2〜3人に起こることが報告されており、卵アレルギーのある方ではその危険が高い可能性があります。
したがって、卵アレルギーのある妊婦にはワクチン接種を勧めず、
感染者との濃厚接触後や発症後に抗インフルエンザ薬を内服するという対応が推奨されています。
予防接種における有益性と危険性を、ご自身の基礎疾患や出産予定日等を踏まえて、主治医と相談した上で接種の適否とその時期を決定するようにしまょう。
インフルエンザにかかった場合の対処法
- 早めに医療機関を受診しましょう。
- 安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
- 水分を十分に補給しましょう。お茶でもスープでも飲みたいもので結構です。
- 咳やくしゃみ等の症状のある時は、周りの方へうつさないように、マスクを着用しましょう。
- 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。
インフルエンザのような症状が出た場合
発熱があり、周囲の状況からインフルエンザが疑われる場合、できるだけ早い(症状出現後48時間以内)抗インフルエンザ薬服用が重症化防止に有効だとされています。
必ず事前に病院へ電話連絡の上、マスク着用で受診しましょう。
インフルエンザにかかっている人と濃厚接触した場合
10日間の抗インフルエンザ薬の予防投与で感染危険を減少できるとされていますが完全に予防できるとは限らず、また、予防される期間は内服期間に限られています。
罹患後抗インフルエンザ薬服用が遅れた場合(発症後48時間以降の服用)では、重症化率が高かったと報告されています。早めの対処が大切です。
※抗インフルエンザ薬を服用したことにより、胎児に問題が起きたという報告は今のところありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
インフルエンザは、完全に阻止することはできませんが、予防接種を受けることで重症化を防ぐことができます。
非妊娠時はワクチンを受けたことのない人も、妊娠中はお腹の赤ちゃんの為にも、是非主治医とご相談してみてください。
大切なことは、感染対策は妊婦さんのみではなく、旦那さんなどのまわりのご家族全員で行うことです。家族全員で出来る範囲で感染リスクを下げること。それが大切ではないでしょうか。
参考:
日本産科婦人科学会(妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対してのインフルエンザに対する対応Q&A 平成22年12月22日)
http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20101222.html
厚生労働省(インフルエンザQ&A)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
厚生労働省(妊娠・基礎疾患等をお持ちの方々へ)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_ninpu.html