最近子どもが涙目…。なんか目やにがよくでるみたい…。
その目やに、放っておいても大丈夫でしょうか。
朝起きたら目が開かないほどの目やに!急いで病院へ行きましょう。
今回は、目やにの病気の種類と原因、対処法、そして点眼のコツをお伝えしたいと思います。
目やにとは
目やには医学的には「眼脂」と呼ばれ、目に入った埃や古い細胞などの老廃物のことです。目の表面は常に涙の膜で覆われていて、瞬きすることで涙の膜が入れ替わり、老廃物も一緒に涙道を通って鼻から喉へと流れていきます。
朝になると目やにが溜まっているのは、睡眠中はまぶたを閉じていてこの循環が行われないためです。
目やにの病気
結膜炎
- 細菌性結膜炎
充血と黄色っぽい目やにが出ます。乳幼児では風邪をひいて鼻詰まりがあるときに生じます。 - ウィルス性結膜炎
アデノウイルスが原因の流行性角結膜炎・咽頭結膜熱、エンテロウイルスが原因の急性出血性結膜炎などがあります。「はやり目」と呼ばれるものは、流行性角結膜炎です。急激に起こる充血、多量の目やに、流涙、目を動かす時の痛みが特徴です。かゆみはほとんどありません。初めは片目で数日中に両目になります。咽頭結膜熱はのどの痛み、発熱、下痢などの全身症状を伴いやすい特徴があります。
通常、発症してから約1 週間で徐々に改善してきますが、炎症が強い場合は黒目の表面に小さな濁りが残ることがあります。 - アレルギー性結膜炎
季節性アレルギー性結膜炎と通年性アレルギー性結膜炎に分かれます。症状は目のかゆみで、目をこすり続けると目が充血して、まぶたが腫れてきます。さらに悪化すると、結膜に偽膜(ぎまく)とよばれるゼリー状の目やにが出てきます。 - 春季カタル
アレルギー性結膜炎の慢性重症型です。10 歳くらいまでの男児に多く、90%以上がダニ過敏症です。かゆみが主体で炎症が強くなるにつれて目やにが増加します。上まぶたの裏側に石垣をならべたようなぶつぶつがでる・黒目と白目の境が赤く腫れるなどが特徴です。まぶたにこすれて黒目の皮がはがれると涙が多くなり、痛みやまぶしさのために目が開けられなくなります。
先天性鼻涙管閉塞症(新生児涙嚢炎)
涙は涙腺で作られ涙点という小さな穴に吸いこまれ、鼻涙管という細い管を通って鼻の奥へと流れます。この鼻涙管の途中に膜が張り行き止まりになった状態で産まれてきてしまった場合を、先天性鼻涙管閉塞症と呼びます。
うまく涙が流れないため、赤ちゃんはいつも涙を浮かべている状態になり、この管の中で細菌感染を起こした状態を新生児涙嚢炎と呼びます。
対処法
結膜炎の対処法
- 細菌性の場合
抗生物質の点眼薬を使用します。多くは1 週間以内に治癒することがほとんどです。長引く時、再発するときは、さかさまつげや涙嚢炎などが疑われます。 - ウィルス性の場合
炎症を抑え、細菌による二次感染を防止するため目薬を使用しますが、今のところ特効薬はありません。学校伝染病に指定されているため、医師の許可があるまでは登校(園)を禁止することになっています。
感染力が非常に強く涙や目やにから感染するため ①涙を拭いたティッシュは個別に捨てる ②タオルを別にする ③むやみに色々に触らない など接触による感染に注意が必要で、加熱消毒・アルコール消毒・次亜塩素酸ナトリウム消毒が有効です。
乳幼児は特に、角膜炎が重症化することがあり注意が必要です。症状が改善しても、角膜に濁りが残ると弱視を起こすおそれがあるので、きちんと治癒しているかどうか眼科でチェックを受けましょう。 - アレルギー性の場合
抗アレルギー作用をもつ目薬を使用します。 - 春季カタルの場合
とてもかゆいとき、目やにが増えたとき、また黒目に傷ができて痛くなったときには、抗アレルギー点眼薬に炎症をおさえる作用の強いステロイド点眼薬を追加します。またステロイドの結膜下注射や、内服薬などを使う場合もあります。
これらの薬を組み合わせても症状が改善しない場合は、石垣状乳頭を切り取る手術をすることがあります。
近年ではいくつかの免疫調整薬が点眼薬として開発され、今までステロイド点眼薬だけでは効果が不十分だった重症の患者さんも、免疫調整薬を一緒に使うことで症状が早く改善されるようになっています。
先天性鼻涙管閉塞症(新生児涙嚢炎)の対処法
涙管開通検査を繰り返し行ったり、抗生物質の点眼と涙嚢マッサージを家庭で行うことで自然開通することがあります。
しかし、開通しない場合は鼻涙管解放術(ブジー)という細い針を涙点から鼻涙管に差し込む施術が行われます。
※涙管開通検査:注射器で生理食塩水を涙点から流し込む検査。正常であれば、子供は生理食塩水が喉に流れ込む為むせて咳をするが、閉塞していると、膿が眼の表面に逆流してくるかむせない。
※涙嚢マッサージ:鼻の付け根部分を押すマッサージ
この病気は、自然開通することが多いため1歳前後まで様子をみる場合と、鼻涙管解放術を早めに勧める場合と、治療法はまちまちのようです。治療法や治療時期については主治医とよく相談して決めることが重要です。
まとめ
点眼のコツ(私の体験より)
まず、言っても分からない…と思わずに点眼をしなくてはならない理由を子供にしっかり伝えましょう。
- 目の回りを清潔にします。
- 寝せるか顔ごと上を向いてもらいます。可能であれば、目を軽くつぶってもらうか、目だけ上を見てもらいます(興味のあるおもちゃを目線で追ってもらうなど)
- 目だけ上が向ける場合は、下まぶたを あっかんべぇ のようにしてそこに目薬をのせるようにします。
目をつぶってする場合は、目薬を鉛筆を持つように持ち、反対の手の親指で上まぶたを上に引きあげます。目薬を持っている手の小指で下まぶたを下げると少し隙間ができるのでそこに目薬をのせます。
黒目が見えている場合そこに向かってさすと怖いので、白目側からさすとよいと思います。
どちらの場合も、目薬の先を目に触れさせないように気を付けます。
また、先に目薬を一滴だしてから行うと、いざ薬液出そうとする時に、すぐに出てくるので素早く行えます。
恐怖心を与えてしまうと次回から激しく嫌がるようになってしまいますので、なるべく怖くないように、笑顔で、時間をかけると嫌がるので素早く(10数える間に終えるようにするなど)楽しい雰囲気を心がけましょう。
参考:
日本小児眼科学会(おしらせー一般の皆様へ)http://www.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page04
日本眼科学会(一般のみなさまへー目の病気ー新生児涙嚢炎)http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ganken_shinseiji.jsp
公益社団法人日本眼科医会(目についての健康情報)http://www.gankaikai.or.jp/health/33/10.html